認知症予防<遊び>

「手芸好きな人は認知症になりにくい」は本当か

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手芸が好きな人で認知症の人って少ないと思いませんか?

筆者の母方の祖母は手芸(特に編み物)が好きで、いつもアクリルたわしやコースターを作ってくれますが、85歳を超えた今も認知症の気配はまったくありません。

一方、父方の祖母はというと、よく働く人でしたが、手芸をしているところを見たことはありませんでした。そして、80歳になる頃、重度の認知症になり、わたしのことも認識することができなくなりました。食事をしたことも覚えていられず、徘徊もしてしまったため、最後は老人ホームにお世話になることとなりました。

思い出すととても切ない気持ちになります。

もちろん認知症が発症したのは、手芸だけのせいではないはずですし、もっと他に大きな要因もあったのだとは思います。

でも、もし手芸が認知症予防に効果があるというのであれば、それは知っておきたいことですよね。

趣味が知らず知らずのうちに、認知症を予防してくれるのだとすれば、そんなにありがたいことはありません。

事実はどうなのか、見ていきたいと思います。

 

手芸が認知症予防になると言われる理由~①指先を使って脳を刺激~

手は「第二の脳」と言われるほど、手(特に「指先」)を使うと脳が働くと言われています。

手・指先は体の中でも特に細かく動かすことができますし、感覚もほかのどの部分よりも優れていますよね?

それは、身体のほかの部分に比べ、手、特に指先には脳につながる神経が多いからなのです。

脳につながる神経が多いということは、指先を使うたびに脳に刺激がおこり、脳がどんどん活性化することになります。

また、脳内の感覚野の4分の1、運動野においては3分の1を手と指先だけで占めていると言われています。
(脳内のどの部分が身体のどの部分とつながっているのかについては、カナダの脳神経外科医であったペンフィールドさんが、実験結果をもとに、ペンフィールドマップというものにまとめてくれていますので、興味のある方は見てみてくださいね。)

これだけの領域を占めるということは、脳にとって、手・指先のはたらきがどれほど重要かということは容易に想像がつきます。

実際、脳のトレーニングとして、専門家の先生も「指先体操」を推奨していますので、科学的根拠もあると言えるのでしょう。

手芸は、手先を使う非常に細かい作業ですので、脳の働きを活性化させるにはもってこいですね。

認知症予防のトレーニングとしても期待していいような気がします!
…が!
この他にも認知症に良いと言われる理由はないのか、もう少し見てみましょう。

 

手芸が認知症予防になると言われる理由~②完成形を思い描く~

手芸をされる方であれば、当然のことと思うと思いますが、基本的に何かを作ると決めたら、自分の頭の中でその完成形を思い浮かべます。そして、思い描いた形に仕上げるためにはどうしたらいいのか、逆算して手を動かしていくはずです。

縫い物なら、型紙は必要かとか、縫い代は何ミリにするかとか…
編み物であれば、どういう風に編んだらいいのか、どのタイミングで毛糸の色を変えるか…などなど、考えることは山ほどあるはずです。

慣れている方であれば、あまり考えずに作業を進められるのかもしれませんが、それでも基本的に脳内はフル回転です。(笑)

この作業によって、想像力や判断力、空間認知力が養われると言われています。また、それだけではなく、これまでに培ったやり方(縫い方、編み方等)を今回の作業にも適用させようと、過去の記憶を脳内から引き出してくる作業を無意識的に行います。つまり、手芸には記憶力が必要ということです。

記憶をたどったり、自分で物事を判断することは、認知症予防として、とても大切なことです。これらのことができなくなるにつれ、認知症の症状はひどくなると言われています。

楽しく作業できるうちから、手芸をすることで脳を使い、判断力や記憶力を養い、認知症予防を始めたほうがいいかもしれませんね。

geralt / Pixabay

 

手芸が認知症予防になると言われる理由~③達成感が得やすい~

手芸が認知症予防に良いと言われる理由の一つとして、「達成感の得やすさ」も挙げられます。

達成感の得やすさは、継続につながります。

祖母の編み物をする姿を見ていたら、簡単なものであれば1つ作るのに数十分でできてしまいます。ものによるとは思いますが、作るもの次第で、気軽に作業をすることができます。

なんでもそうですが、面倒くさいものであれば、人はなかなか長続きすることができません。始める前から腰は重いですし、やってみたとしてもすぐに挫折してしまうのが通常です。

予防法として取り入れるのであれば、やはり「継続すること」こそが、一番大事なことと言えます。その点からみても、手芸は認知症予防に向いていると言えそうです。

ijmaki / Pixabay

認知症予防には目標設定も大事

ここまで、手芸がいかに認知症予防に向いているのかについてお話してきました。
そして、認知症予防は、継続することが大事だということもお伝えしました。

趣味として自己満足の世界で手芸をすることだけでも十分認知症予防になると思いますが、もう少しの工夫で、さらに認知症予防が効果的になると思いますので、その点についてお話したいと思います。

すでにお分かりの方も多いかもしれませんが、その工夫というのは、「目標を設定する」ということなんです。

目標は大きくても小さくてもなんでもいいんです。
たとえば、作品展に出して賞をとるとか、フリマに出して完売するとか、お友達にプレゼントして喜んでもらうとか…。

目標を達成した時に、自分の中で大きな達成感を得ることができることはもちろんですが、他人に認められたり、ほめられることで、承認欲求も満たすことができます。

承認欲求を満たされることは、精神的に安定するだけでなく、生きがいにもつながります。

バリバリと仕事をしてきた人が、定年を迎えたとたん、一気に喪失感に襲われ、認知症になってしまうというケースはよく耳にすると思います。それともいうのも、生きがいが急になくなってしまう(ように感じる)からなのです。

生きがいを感じると、人生が楽しくなり、活動的・社交的になります。そして、認知症とはかけ離れた生活を送るようになるのです。

 

まとめ

手芸をすることで、人間の力はたくさん養われます。

想像力、記憶力、空間認知能力、創造力、集中力…

それだけでも十分魅力的なのに、手芸は認知症予防にも効果的というのですから、本当に驚きです。

もちろん、手芸だけが認知症予防に効くわけではないですし、手芸をやったから絶対に認知症にならないというわけでもないですが、これだけのメリットがあるのですから、手芸が嫌いとか苦手という人でなければ、若いうちから趣味の一つに取り入れてみるのもいいかもしれないですね。

 

現在はもう、人生100年の時代に突入しています。いつまで仕事でバリバリ働くのかわかりませんが、ヒトには必ず老後がやってきます。

その時に、人生を楽しんでいたいですよね。

何十年も必死に仕事に生きてきたのに、定年してすぐにボケてしまったら、とてももったいないです。。

みなさんもそんな人生は嫌ですよね?

楽しいことはいっぱいあります。生きがいを見つけて、認知症の不安なんて消し去りましょう。そして、せっかくの人生、最後の最後まで楽しくすごしましょう。

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