認知症予防<生活>

よく噛むことは認知症予防になる

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認知症予防に効果的な食事というと、ついつい「食材」だけを思い浮かべがちですが、大事なのはそれだけではありません。

認知症予防には、献立を考えること、料理をすること、そして、よく噛んで食べることも効果があると期待されています。

ここでは、「よく噛むこと」と「認知症予防」の関係性について、見ていきたいと思います。

 

 

よく噛むことの大切さ

そもそも我々の多くは、小さいころから、「よく噛んで食べなさい」と言われて育ってきました。
ですからなんとなく、よく噛むことは身体に良いのかなという認識がありますが、具体的なところはどうなのでしょうか。

 

ところでみなさんは、「ひみこの歯がいーぜ」という言葉を耳にしたことはありますか?

急に変なことを言い出したみたいな感じですが、そういうわけではないんです。実はこの言葉こそ、よく噛むことがもたらす8つの良い効果を簡潔に示してくれているのです。

 

ひみこの歯がいーぜ

   肥満を防ぐ

   味覚の発達

   言葉の発音がはっきり

   脳の発達

   歯の病気を防ぐ

   ガンの予防

いー  胃腸の働きを促進

ぜ  全身の体力向上と全力投球

どうでしょうか。
なんとなくわかっていたもの、こんなところまで効果があるのかと意外に感じたもの、それぞれあると思います。

噛むことは、食材を身体に吸収させるための一工程に過ぎないのではなく、噛むこと自体が身体を健康にする効果をたくさんもたらすんですね。

ちなみにこの言葉は、80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという思いを込めて、平成元年に厚生省(現 厚生労働省)と日本歯科医師会が提唱した「8020運動」という働きかけの中で、作られた標語です。
(参考:8020推進財団ホームページ

噛むことと認知症予防の関係性

さて、ここからが本題でしょうか。

よく噛むことと認知症予防の関係性についてみていこうと思います。

平成29年に、東京医科歯科大学、科学技術振興機構、日本医療研究開発機構が共同で、咀嚼刺激の低下が記憶機能や学習機能に障害をもたらす旨の研究結果を発表しました。
※この研究内容の論文は、国際科学誌 Journal of Dental Research に掲載されています。

この研究は、マウスを用いた実験で、実験内容としては、固形の餌を与えるグループと粉末状の餌を与えるグループに分け、それぞれの記憶・学習機能を確認するというものでした。
粉末状の餌を食べていたマウスは、固形状の餌を食べていたマウスに比べ、顎の骨や咀嚼筋の成長が抑制されていることは勿論のこと、海馬などの脳神経の発達が妨げられ、記憶・学習機能に障害がでていたというのです。

この実験自体はマウスを用いて行われていますが、これは人間にも当てはまる可能性が高いと言えます。

実際、人間を対象に咀嚼と記憶力に関する実験も各所で行われており、ある研究結果では、高齢者の方が一口30回以上咀嚼して食事をとることで、短期記憶が1週間後に改善し、6か月後にはその短期記憶が維持できる傾向があることが分かったと言っています。

このことからも、咀嚼が認知症予防に効果がある可能性は高いと言えるのではないでしょうか。
今後さらに研究が進むにつれ、認知症予防法としての咀嚼の仕方が見いだされていくことに期待しましょう。

 

入れ歯では認知症予防の効果はないのか

結論から言ってしまうと、入れ歯でも認知症予防の効果は期待できます。

噛むという行為が脳神経を刺激するわけですが、その噛むという刺激は、歯の神経だけでなく、口やあごの筋肉などからも脳に伝えることができます。

もちろん、自分の歯で噛むことが一番です。ですが、歯がボロボロで上手く噛めない…という状態より、入れ歯やインプラントでもいいので、きちんと噛むことができる状態であることが大事なのです。

入れ歯もピタッと合うと、自分の歯のように、しっかり噛めて、おいしくごはんを食べることができます。

ごはんがおいしく食べられることは、生きがいにもなりますので、歯がないからと落ち込まず、自分に合った入れ歯を作ってもらうようにしましょう。

 

まとめ

よく噛むことと認知症予防についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。

よく噛むことで脳神経を活性化し、記憶力の低下を防ぐことができると言われています。誰にでも同等の効果が期待できるのか否かについては、今後の研究に期待したいところですが、咀嚼が脳へよい影響をもたらすことは間違いないことと思います。

おそらく認知症予防法として「よく噛むこと」が確立されるのも時間の問題でしょう。

 

また、自分の歯がない人であっても、入れ歯をいれることで、認知症の程度が軽くなったという話もあります。

噛むことで得られる脳への働きは、入れ歯でも期待できるのです。

 

自分の歯がまだある人は、できるだけ、死ぬまでその歯を大事にしましょう。

歯がない人は落ち込まず、自分に合う入れ歯を作りましょう。

そして、よく噛んで、おいしくごはんを食べ、いつまでも元気に過ごしましょう。

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