仕事終わりのビール、最高ですよね!
1日の締めくくりには「ビール」という方は多いのではないでしょうか。
でも、ビールって健康なイメージはないですよね。
毎日飲んでいたらおなかも出てくるし…(笑)
脳への影響はどうでしょうか。あんまりいいイメージは湧かなかったのですが、実はここ最近、とある研究結果が注目されています。
それというのも、「ビールを飲むと認知症を予防できる」んだとか…
これが本当ならとってもありがたい!!!
ということで、今回は、ビールは認知症予防に効果があるということが本当なのかどうか、また本当だとしたら、ビールの何が認知症予防に効果を示しているのか、どれくらい飲んだらいいものなのか…などなど、ビールと認知症の関係について詳しく見ていきたいと思います!
目次
ビールの苦み成分「ホップ由来のイソα酸」が認知症予防に効果アリ!
ビールが認知症予防に効果があるということですが、本当に効果があると言われているのは、ビールの中のホップに由来する「イソα酸」という成分です。
この事実については、キリン㈱さんの健康技術研究所が発見し、研究結果を日本認知症学会で発表されました。様々なメディアでも取り上げられていましたので、見たことのある人もいるのではないでしょうか。
ホップはよく、ビールの苦み成分と言われますが、この苦み成分の源は「イソα酸」です。もともとホップの花の樹脂腺にはα酸という成分が含まれているのですが、ビールを製造する途中で加熱することにより、α酸がイソα酸へと変化します。(ちなみにα酸では認知症には効果はないそうです。)
そんなイソα酸は、脳内のミクログリアという細胞を活性化させる効果があります。
ミクログリアについては、「赤ワインとカマンベールチーズは認知症予防に最高の組み合わせと言えるのか?」の記事でも記載していますが、脳内にあるアミロイドβなどの老廃物を食べて除去する役割を担ってくれている細胞です。
アミロイドβが脳に蓄積してしまうと、脳神経細胞の情報伝達機能がうまく働かなくなり、記憶・認知機能の低下、そしてアルツハイマー型認知症を引き起こしてしまいます。
だから、アミロイドβを除去してくれるミクログリアは非常に大事な細胞なのです。
ですが、ミクログリアもアミロイドβを食べすぎると、炎症を起こしてしまいます。そうすると、活性酸素を発生させてまわりの細胞にダメージを与えたり、脳にストレスを与え、認知機能を低下させてしまいます。
そこで、ミクログリアを活性化する効果のあるイソα酸を摂取することで、結果的に認知症の予防をすることにつながるのです。
実際に、キリン㈱さんは、東京大学が保有するマウス(アルツハイマーの原因であるアミロイドβ等の老廃物がはやく蓄積するように遺伝子を組み込んでいる)を用いて、興味深い実験を行っています。
その実験では、モデルマウスの半数にはイソα酸を含んだ飼料を3か月間与え、もう半数には、イソα酸を含まないものを3か月間与えて、その結果を比較しているのですが、イソα酸を含んだ飼料を与えられていたマウスたちは、もう一方と比較して、脳内のアミロイドβの蓄積が抑えられていたというのです。さらに、その蓄積量の差というのは、大脳皮質において約2倍ほどだったといいます。
イソα酸を摂取するかしないかで、脳内老廃物に2倍もの差が出るのであれば、これはもう摂取するしか選択肢はないですよね!
ビール、飲むしかないですよね!!(笑)
ノンアルコールビールでも、認知症予防に効果は期待できるのか
それだけビールに認知症予防の効果があるとするならば、ぜひともみんなでビールを飲みたいところですが、中にはビール(アルコール)が飲めない方もいますよね。
アルコールが飲めない人は諦めるしかないのでしょうか…。と、諦めるのは早いのです!
実は、イソα酸は、ノンアルコールビールにも含まれているのです!
ノンアルコールビールを飲んだことのある方ならお気づきかもしれませんが、ノンアルコールビールもビールと同様に苦いですよね?
イソα酸は、この苦み成分ですので、ノンアルコールビールでも摂取することができるのです。
ちなみに、ノンアルコールビールを使用した検証もちゃんと行われています。(キリン㈱さんの2016年の記事によると、内閣府の革新的研究開発推進プログラムImPACTにおいて実証試験が行われたそうです。)
なお、この検証では、50~70代の男女25人に、毎日180mlほどのノンアルコールビール(イソα酸約3㎎含有)を4週間に渡って摂取してもらい、脳内活動の変化を確認したところ、改善する可能性が示唆されたそうです。
ノンアルコールビールでもビールと同じようにイソα酸を摂取できるのであれば、アルコールが苦手な人でも問題なくイソα酸を摂取することができますね!
認知症予防に効果的なビールの選び方
さて、ビールが認知症予防に効果的であることはわかりましたが、それはどんなビールでもいいのでしょうか?効率よくイソα酸を摂取できるビールはあるのでしょうか?
結論から言いますと、苦みの強いタイプのものがイソα酸を摂取するにはオススメです。
当然と言えば当然なのですが、イソα酸は苦み成分ですので、苦みの強いものほどイソα酸の含有量は多くなります。
タイプでいうと、インディアペールエールのようなホップをふんだんに使用したものがおすすめです。反対にピルスナーやベルジャンホワイトなどの爽やか系は、イソα酸の摂取目的として飲むにはちょっと物足りないかもしれません。
とはいえ、馴染みのある一般的なビールにもイソα酸はちゃんと含まれていますので、わざわざイソα酸を意識して種類を選ばなくても、好みのものがあるならば、それをおいしく飲んだほうがいいと思います♪
好きでなければ継続もできませんからね。
ビールの飲みすぎは、認知症のリスクを高める
ここまで、認知症予防のために(という口実で(笑))ビールを飲むことをおすすめしてきましたが、やはり飲みすぎは禁物です!
事実、大量の飲酒は脳委縮につながると言われています。飲酒量が増えれば増えるほど、脳が委縮することが確認されているそうです。
怖いですね…。
以下は厚生労働省のe-ヘルスネットからの紹介となりますが、
とある調査では、認知症を患っているの高齢者のうち29%は、多量の飲酒が原因で認知症になったと考えられる旨の結果が出たそうです。また、別の調査では、過去5年以上に渡りアルコールを大量に摂取した高齢男性は、そうでない男性と比べて、認知症の確率が4.6倍にもなったとの報告があります。
また、ビールを全く飲まない人の認知症危険度合いを1とした場合に、350mlのビールを1週間で何本飲むかに応じて認知症の危険度合いが増減するかを調べたという興味深い調査結果があるのですが、その調査によると、1週間当たり1~6本ほどの飲酒をした人は、0.5未満の数値を記録したそうです。
これというのは、つまり、少量の飲酒をした人は、全く飲まなかった人よりも認知症になる可能性が低いという結果が示されたということです。
これだけでは、信ぴょう性に欠けると思うかもしれませんが、他にも似たような調査結果があるのです。
例えば、フィンランドで行われた調査では、中年時代の飲酒量と認知症の発症結果の関係を確認したところ、お酒を全く飲まなかった人や高頻度で飲んでいた人たちに比べ、低頻度でお酒を飲んでいた人たちの認知症発症リスクは半分以下だったと言います。
調べれば調べるほど、お酒を少量飲むことは、認知症予防に効果的と言えそうです。そして同時に、多量に飲めば飲むほど、認知症の発症リスクは高まるとも言えます。
先の調査結果からみれば、1週間当たり350mlが1~6本が適量ということですから、1日あたりにすると、多くても缶ビール1本弱ですね。
ちょっと少ないと思いましたか?でも飲めないよりは嬉しいですよね。
何事も適量が一番なのです。過度な飲酒は禁物ですよ!!
まとめ
ビールの原料であるホップに由来する「イソα酸」が、認知症予防に効果があることは、驚きの事実でした。
今まで健康とは無縁と思っていたビールが、まさかの認知症予防の飲み物と言えるなんて…。本当にうれしい驚きですよね。
ここまで、イソα酸は脳内のアミロイドβの除去に一役買っており、結果的にアルツハイマー型認知症を予防する効果があることを話してきましたが、実はそれ以外にも、生活習慣病の改善効果や肥満の抑制効果・肥満による認知機能の低下を抑える効果も期待できるそうです。
生活習慣病は、脳血管性認知症の原因の一つといわれていますので、生活習慣病を予防できるのであれば、これまた結果的に認知症予防へとつながります。
また肥満についても、肥満により起こる脳の炎症や委縮を抑えて、認知機能の低下を改善してくれるというのです。
イソα酸、恐ろしいほど認知症予防に効果バッチリな成分なんですね…!
これはもうビールを飲まないという選択肢はないですよね。
もちろん、お酒が苦手な人はビールを飲んではいけませんが、ノンアルコールビールでも同様の効果が得られるので嬉しいですね。
今日も仕事が終わったら、ビールやノンアルコールビールで、1杯行きましょう!