うつ病と認知症に因果関係はあると思いますか?
もしかすると、この記事を読んでくださっている方の中には、うつ病になると認知症になるリスクが上がるというような話を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
でも、それって本当なのでしょうか。
正直、うつ病と認知症では、まったく別の病のように思えます。
その2つの病に関係性があるとするならば、怖いですし、予防するためにも知っておきたいですよね。
ということで今回は、うつ病と認知症の関係についてみていきたいと思います。
うつ病と認知症の共通点
うつ病と認知症は一見全く違う病のように思いますが、実は共通する部分もあるというのです。
まずうつ病ですが、気持ちが沈み、やる気や元気が出なくなるような症状がみられます。そして、精神的に病んでしまうことで、これまで普通にできていたことができなくなります。
認知症は、記憶する機能に障害が起きているため、物忘れに始まり、いつも無意識に行っていた日常生活での行動にも支障をきたしてしまいます。
ここまでで、うつ病と認知症に共通する点にお気づきいただけましたでしょうか。実は、どちらも、今までできていたことができなくなる、一人では日常生活が送れなくなると言った共通の症状があるのです。
また、高齢者のうつ病は、物忘れの症状も出るため、認知症と間違えられやすいと言われています。
うつ病の人は認知症にもなりやすいのか
うつ病と認知症の症状には共通点があること、特に高齢者の方の症状は似ているということがわかりました。
では、うつ病の人は認知症も併発しやすいのでしょうか。症状が似ているだけで、相互に関係はあると言えるのでしょうか。
ヨーロッパで行われたとある研究によると、うつ病を患っていた人でのちにアルツハイマー型認知症になってしまった人は、調査対象となったうつ病患者全体の85%ほどになったと言います。この結果、、かなり多いですよね。
また、認知症になりやすい人の特徴として、真面目で繊細な人や、神経質であったり、落ち込みやすい人というのが挙げられます。
この条件に当てはまる人というのは、うつ病にもなりやすい人に該当するとは思いませんか?
これだけで、「うつ病は認知症になる原因だ」とは言い切れませんが、うつ病になる人は認知症にもなりやすいということは、否定できない事実であると思います。
抗うつ剤も認知症発症のリスクを高める
うつ病の薬としても用いられる薬に「抗コリン薬」というものがあります。
この抗コリン薬ですが、もともと短期的な認知障害と関係があることは認められていたのですが、将来的な認知症にも影響を与えることが、ここ数年で明らかになってきています。
2018年4月25日のBMJ誌に、興味深い研究結果が掲載されています。
この研究は、英国で、2006年4月~2015年7月の間に認知症と診断された4万770例と、認知症診断のない対照28万3,933例の患者さんの、これまでの抗コリン薬の投与量や投与期間を確認したものなのですが、抗うつ剤として用いられる抗コリンの作用は、認知症の発症リスクを増加させていることが分かったと言います。
しかも、抗コリン薬を服用していたのが、認知症と診断される15~20年ほど前であっても、発症リスクの増加が確認できたと言うのです。
この研究結果より、若い時に患ってしまったうつ病、そしてその治療のために摂取した抗コリン薬によっても、将来的に認知症を発症してしまうリスクが上がってしまうことがわかりました。
直前に飲んでいたことが影響するならまだしも、15年も20年も前のことが、将来的に影響してしまうなんて、本当に恐ろしいですよね。
とはいえ、うつ病を患ってしまったら、薬を飲まないという選択をするのはなかなか難しいと思います。だからこそ、うつ病にならないような精神状態を作りたいですよね。(筆者自身は、マイナス思考の持ち主なので、そんな精神状態を作るなんて難しくてしょうがないのですが…。)なるべく明るくポジティブな気持ちを持つように心がけたいですね!
認知症予防のためにも、うつ病を予防しよう
うつ病にならないために、明るくポジティブな気持ちでいることを心がけましょうと言いましたが、もっと具体的に気を付けられるポイントや予防法があれば知っておきたい!
ということで、ここではうつ病を予防するための方法を3つご紹介したいと思います。
①ストレス発散
ストレスが溜まる前に、気分転換をするようにしましょう。また、ストレスが溜まってきたら、身体や心に不調が出る前に、ストレス発散をするように心がけるといいと思います。
具体的なストレス発散方法としては、ぐっすりと眠ることや、身体を動かすことなどがおすすめです。睡眠不足は身体を疲労させるだけではなく、精神状態も不安定にさせます。しっかり寝て、朝はカーテンを開けて太陽の光を浴びる。そして、できれば散歩など適度な運動を行うと心身ともに健康になれると思います。
また、半身浴や音楽を聴くこと、アロマを焚くことなどのリラックスできることをするのもおすすめです。自分に合ったリラックス法を生活の一部に取り入れ、リフレッシュする習慣を作ると、気分転換が上手くできるようになるはずですよ。
②話をする
ストレスに感じること、気が滅入るようなことは、一人では抱え込まず、まずは身近な人に話をするようにしましょう。
誰かと会話をするだけでも気分転換になりますし、悩み事を人に話すと、気持ちが軽くなるものです。
一人で抱え込む時間が長くなればなるほど、人に話すことが難しくなります。そうすると、心も病みやすいですし、病んでしまっては回復するまでに時間がかかります。
誰でもいいんです。あなたの傍にいる人に悩みを打ち明けてみてください。きっと心が軽くなると思いますよ。
③逃げる
あまりにもストレスに感じるものがあるとするならば、そのストレスの原因から逃げるというのも一つの方法です。
例えば、職場に理不尽すぎる上司がいたり、ブラック企業で身体を壊すほど働かされている人もいると思いますが、どうしても環境が改善されない、このままでは自分が壊れてしまうと感じたら、逃げることも大事です。会社は世の中に腐るほどあります、現状より自分に合う職場は絶対にあります。
無理してそこに居続けることで、身体も心も蝕まれてしまうくらいなら、そんな場所に身を置き続ける必要なんてありません。逃げることは悪いことではありません。逃げるという手段もあるということを念頭に置いてみてください。
さて、代表的なうつ病予防法を3つご紹介しましたが、気持ちが沈んでどうしようもないときは、無理せず専門のお医者さんに相談するようにしてください。
病気を長引かせると、治癒までにも時間がかかります。早めに対処することで、早く元気になることもできますので、一人で抱え込まず、誰か身近な人や専門家に相談するようにしましょうね。
まとめ
うつ病と認知症には似ている部分が多く、また、うつ病になる人は認知症にもなりやすいということがわかりました。
うつ病で処方される薬の一種には、将来的に認知症を発症するリスクをあげるものもあると言います。
認知症を予防するためにも、うつ病にはなりたくないものですね。
とはいえ、心は自分の意識とは無関係に、傷ついたり落ち込んだりしてしまいます。
ストレスを感じないようなポジティブな思考の持ち主になれたら、それが一番いいのですが、なかなかそうもいきません。マインドコントロールは難しいものです。
だからこそ、ストレスを感じたら、なるべくその原因から遠ざかったり、ストレスを解消法を生活に取り入れたりすることが大事なんだと思います。
できるだけストレスを軽減し、心と身体を健康に保ちましょう。