みなさんは、「うがい」って、いつしますか?
出かけて家に帰ってきたときでしょうか。ごはんを食べた後でしょうか。
きっと1日の中のいろんなタイミングでうがいをしますよね。
では、そのうがいは何のためにしていますか?
ほとんどの人が、風邪予防のためと答えるのではないでしょうか。
もちろんそれも正解です。
でも、このほかにもうがいにはたくさんのありがたい効果があるというのです!
それはまさかの認知症予防にも…?!
うがいにはいったいどんな効果があるのか、認知症とうがいに関係性はあるのか、さっそく見ていこうと思います。
うがいの効果「口腔ケア」
うがいには、風邪予防だけでなく、「口腔ケア」の効果もあります。
口腔ケアは、口の中をきれいにすることですが、口の中を清潔に保つことで、身体の健康維持やQOL(生活の質)の向上にも良い影響を及ぼします。
具体的な口腔ケアの必要性と、口腔ケアのやり方について、ここから説明していきます。
口腔ケアができてないとどうなるか?口腔ケアと認知症の深い関わり
口腔ケアがきちんとできていないと、以下のような弊害が生じるリスクがあります。
①歯周病
歯周病は、歯肉など歯の周りの組織に細菌が入ることで炎症が起こる病気のことです。口腔ケアができていないと口の中が細菌だらけになってしまうので、歯周病になる確率も上がってしまうのです。
歯周病の主な症状としては、歯肉が腫れたり、歯がぐらぐらして(最終的には歯が取れてしまい)ものが噛めなくなってしまいます。
ものが噛めなくなると、認知症のリスクが上がると言われています。
(※詳しくは、「噛むことは脳を活性化する」の記事へ)
また、歯周病の原因菌が作る「酪酸」という成分が、認知症のリスクを高めるという研究結果を日本大学の研究チームが発表しているほか、2019年1月には、アメリカのルイビル大学の研究チームが、慢性歯周炎の原因細菌である「ポルフィロモナス・ジンジバリス菌」が、アルツハイマー型認知症患者の脳内で発見された旨の論文を発表しています。
これらのことは、まだ完全解明されているわけではないとのことですが、歯周病と認知症に関係性があるということは確実と言わざるを得ないと思います。
②誤嚥性肺炎
年をとり、飲み込む機能が衰えてくると、食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまうことがあります。その際に、口腔内に細菌があると、その細菌が肺に入ってしまい、肺炎を引き起こします。このことを「誤嚥性肺炎」といいます。
こちらも、口腔内が清潔に保たれていれば、肺炎を防ぐことが可能です。
肺炎は命を落とす原因になってしまうほど、怖い病気です。
肺炎から寝たきりになってしまうこともあります。そうすると、身体を動かせなくなることで、認知機能も低下し、認知症の発症へとつながってしまう恐れもあります。
③免疫力の低下
唾液には様々な作用があります。食べたものを消化しやすいように分解したり、口の中を自らきれいにしようとしたり、細菌の増殖を防いだり…。
ですが、口腔ケアを怠っていると、どうしても口内は汚くなり、細菌も増殖してしまいます。そして、残留物や細菌が口の中にたまると、唾液は出にくくなります。
抗菌作用や自浄作用のある唾液が出ないと、細菌を殺すことができません。免疫力もどんどん低下します。
免疫力を高めるためにも唾液は必要なのですが、そのためには、口腔ケアが必須となるわけです。
④口臭
口腔ケアを怠ると口臭がひどくなります。これはみなさんもすぐに思いつきましたよね?
口臭がひどくなると、他人とのコミュニケーションが難しくなります。
自分で症状を認識している場合には、相手に不快感を与えるのではないかと人に話しかけづらくなりますし、相手が不快感を感じた場合には、距離を置かれる可能性もあります。
コミュニケーションは認知症予防において大きな効果が期待できるものです。ですから、人とコミュニケーションがとりにくくなる原因はできる限り排除すべきです。
⑤おいしさを感じられない
口腔ケアができていないと、歯周病等が原因で噛むことや飲み込むことがしづらくなります。
すると、食べることの楽しみ、食べ物のおいしさが感じにくくなります。
当然と思われるかもしれませんが、おいしく食べることも生きがいの一つです。
生きがいは、健康でいられるための大前提です。食べることが楽しみであれば、栄養もきちんと口から摂取することができますし、よく噛むことで脳を活性化することもできます。
おいしく食べることも、認知症予防につながるということなんですね。
効果的な口腔ケアのやり方
口腔ケアは主に、「歯みがき」と「うがい」の2つの方法です。
ポイントをまとめておきますので、口腔ケアをする際の参考にしてみてください。
<歯みがき>
歯ブラシは、毛先のやや柔らかいものを選びます。毛先が広がっているもの(歯ブラシを裏から見て、毛先が見えるもの)はNGです。
歯や歯茎を傷つけないように、ていねいに優しく磨くようにしましょう。
磨き残しの多い、歯と歯茎の間は、円を描くように歯ブラシを動かすのがコツです。
(参考:一般社団法人日本訪問歯科協会 歯磨きのコツ)
<うがい>
歯と歯の間の汚れを取り除くことをイメージして、「ぶくぶく」とうがいをします。
うがいの際に誤嚥してしまわないように注意をしましょう。
口に含む水は少なめにし、少し前かがみの体勢で行うと、誤嚥予防になります。
うがいはぶくぶく?ガラガラではだめな理由
口腔ケアにおけるうがいは、「ぶくぶく」がよいです。
「ガラガラうがい」では喉についた細菌を流し落とすことができますが、口腔内を清潔にすることとは少し目的が違います。
歯間の汚れを落とすことには「ぶくぶくうがい」のほうが効果的なんです。
中には、歯磨きをすることが難しい方もいらっしゃると思います。
歯みがきには劣りますが、ぶくぶくうがいをするだけでも、ある程度口腔内を清潔に保つことができますので、うがいはぜひ続けてほしいと思います。
また、「ぶくぶく」とうがいをすることは、口の体操にもなります。頬や口周り、舌の筋肉を鍛えることができますので、まさに一石二鳥という感じです。
まとめ
口腔内を清潔に保つことは、虫歯や口臭予防になるだけでなく、身体と脳を健康に保つことにも大きく影響しています。
うがいは毎日していることだからこそ、やり方を意識するだけで簡単に、口腔ケアに効果的なうがいに切り替えることができます。
認知症は、身体を壊すことから始まってしまうケースも多いですよね。「健康でいること」こそ、もしかすると一番の認知症予防と言えるのかもしれません。
そのためにも、免疫力・抵抗力を低下させないよう、口腔ケアはきちんとしておくべきでしょう。
まずは今日のうがいから。認知症予防の第一歩を踏み出しましょう。