緑茶が健康にいいということは、どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「緑茶が健康にいい」と聞いてまず最初に思い浮かぶのは、おそらく「カテキン」ですよね?!・・・違ったらすみません(笑)
ですが、なんとなく、健康にいいというのは、緑茶に含まれる「カテキン」という成分ではないかと、多くの人が思うのではないでしょうか。
実際、このカテキンという成分には、どのような効能があるかご存知ですか?
なんとなく身体に良さそうというだけで、その具体的な効能まで知っている方は少ないのではないでしょうか。
また、最近では、緑茶が認知症予防にも効果があるというような話題も耳にします。
これも「カテキン」が関係しているのでしょうか。
緑茶とカテキンが健康とどう関係するのか、そして認知症との関係性について、ひも解いていきましょう。
緑茶のチカラ、その名も「カテキン」
お茶には、カテキンというポリフェノールの一種が豊富に含まれています。
カテキンには主に以下のような効能があると言われています。
①抗酸化作用
人間の吸う酸素の一部は活性酸素というものになります。活性酸素は強い酸化作用を持ち、体内に侵入したウイルスや細菌を抑える役割をしてくれます。しかし、活性酸素の量が多くなりすぎると、正常な細胞や遺伝子を攻撃し、がんや生活習慣病を引き起こしてしまいます。
カテキンには、抗酸化作用がありますので、活性酸素の発生を抑える役割があります。不要な活性酸素を除去することで、がんや生活習慣病、身体の老化を防ぐ効果が期待できます。
②抗ウイルス作用
ウイルスは、細胞に取り付きその中で増殖しますが、カテキンはウイルスが細胞に取り付くのを防ぐ効果があります。
カテキンが風邪予防に効果があると言われるのは、この効果のためです。
③抗菌・殺菌作用
カテキンには毒素を消す解毒作用と細菌の細胞膜を破壊する殺菌作用があります。O-157などの食中毒にも効果があるほか、水虫の原因になる菌やマイコプラズマ肺炎を引き起こす原因菌にも効果を出しています。
④抗アレルギー作用
アレルギーは、アレルゲン(抗原)が体内に入ってきたときに、体が勝手に有害物質と判断し、過剰な反応が出てしまうことです。その際に、ヒスタミンなどの炎症性物質が放出されるのですが、カテキンは、そのヒスタミンを抑える効果があると言われています。
⑤コレステロールの低下作用
コレステロールには、善玉と悪玉があり、悪玉コレステロールは、脳梗塞の原因となる動脈硬化を引き起こすと言われています。カテキンは悪玉コレステロールのみを低下させる作用があると報告されています。
ざっと見るだけでも、カテキンにはありがたい効果がたくさんあることがわかります。
健康に良いと言われるのも納得ですね。
緑茶と認知症の関係
さて、緑茶(カテキン)が健康に良いということはとてもよくわかりましたが、果たして認知症にも良い効果は期待できるのでしょうか。
金沢大学大学院脳老化・神経病態学神経内科学の研究グループの調査によると、緑茶が認知症予防に効果がある可能性があることが分かったと、2016年6月8日に開催された日本老年医学会学術集会で報告されました。
調査内容としては、石川県七尾市の60歳以上の認知機能の正常な男女723人を対象に、緑茶を飲む頻度の確認と、認知症の発症リスクの関連について、5年間追跡調査を行ったと言います。
その結果、週1~6日緑茶を飲んでいる人は、全く飲まない人に比べて、約1/2に認知症の発症リスクが減ったそうです。さらに、緑茶を毎日飲む人であれば、約2/3程も認知症リスクが減少していたとのことです。
(参考文献:米国科学誌 PLOS ONE)
緑茶の中の具体的にどの成分が認知症予防に影響しているのかというのは、現在も研究が進められているそうです。
ただ、前述したとおり、カテキンの効果の「①抗酸化作用」により、認知症の原因となる脳血管疾患(生活習慣病)を予防してくれることは間違いありません。
兎にも角にも、緑茶を飲むことで認知症発症リスクが減ったという研究結果がある以上、試してみない手はないですね。
緑茶でないとダメか。他の飲み物は?
緑茶・紅茶・ウーロン茶は、基本的にはどれも同じ茶葉からできています。それでも緑茶でないといけないのでしょうか。認知症予防に効果的なのは緑茶だけなのでしょうか。
そもそも緑茶、紅茶、ウーロン茶は、味や香りが全然違います。
同じ茶葉からできているとは思えないほどです。
ではなぜ、同じ茶葉なのにあんなにも味や香りに違いが出るのかというと、茶葉の発酵度合いが違うからです。
発酵していないものが緑茶、完全発酵しているものが紅茶、その間あたりがウーロン茶と呼ばれています。
発酵すると、カテキンは酸化してしまいます。
ですので、カテキンの含有量としては、緑茶が一番高いということになります。(※その分、ウーロン茶や紅茶にはカテキンが発酵してできた別のポリフェノールが含まれるそうです。)
認知症予防の観点からすると、カテキンを多く含むものが好ましいと言えますので、お茶の中では緑茶が一番オススメということになります。
効果的な飲み方、飲む量・時間帯はあるか。
緑茶を飲むのに、特別効果的な時間はないそうです。
強いて言うならば、食後であれば虫歯予防には効果的でしょうし、疲れた夕方ならリラックス効果があります。
基本的に緑茶は、たくさん飲んだから身体に悪いということはないものですので、お水の代わりに…くらいの気持ちで飲んでいただいて問題ないと思います。
なお、国立がん研究センターの公表している研究結果によると、緑茶の1日の摂取量を、1杯未満、1~2杯、3~4杯、5杯以上の4つに分けて、いろいろな疾患による死亡リスクを調べたところ、緑茶の摂取量が多いほど、心疾患・脳血管疾患・呼吸器疾患による死亡についてはリスクの低下がみられたと言います。
(参考文献:国立がん研究センター 緑茶摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について)
上記研究では、直接認知症の予防については触れていませんが、脳血管疾患は認知症へつながる病ですので、緑茶をたくさん飲むようにするのは良いことでしょう。
何事もそうですが、毎日継続することが大事です。
健康的な食事と合わせて、毎日緑茶を飲むことで、病気のリスクは低下し、身体も脳も健康でいられます。
毎日できれば5杯、緑茶を飲むように心がけたいですね。
まとめ
緑茶はこんなにも健康に良い効果をもたらすんですね。
同じ茶葉を使用しているとしても、紅茶やウーロン茶では同等の効果は期待できないということもわかりました。
認知症と緑茶の関係は現在も研究が進められている最中ではありますが、何らかの形で、緑茶が認知症予防に効果を発揮していることは紛れもない事実です。
毎日緑茶を飲む人は、全く飲まない人に比べて認知症になるリスクが約1/3になるということですから、最低でも1日1杯は緑茶を飲む習慣をつけたいですね。
さらに、毎日5杯以上飲むことで、脳血管疾患も予防できると言います。
脳血管疾患も認知症予防につながる病ですから、できれば予防しておきたいものです。
1日5杯。
数字で見ると、難しく感じてしまうかもしれませんが、毎日摂取している水分を半分でいいから緑茶に置き換えたらどうでしょうか。
意外と簡単に「1日5杯の緑茶」も実践できそうではないですか?
最低1日1杯、できれば1日5杯の緑茶を飲んで、健康な生活を送りましょう。