認知症への配慮計画の義務化を宣言?
2019年6月13日に、政府関係者は、認知症バリアフリーに関して、以下のことを公表しました。
認知症バリアフリーに関して
□認知症患者を配慮・支援する計画の作成を、鉄道会社やバス、航空会社に義務付ける。
□上記を怠った場合には、50万円以下の罰金を科す。
□上記は2021年を目途に実施する。
これらのことは、認知症バリアフリーの目玉政策として、翌週にも認知症施策推進大綱に盛り込むとのことです。
そして実際、2019年の6月18日に、認知症施策推進関係閣僚会議にて、認知症施策推進大綱の決定がされました。
認知症施策推進大綱による認知症バリアフリーが本格始動?!
2018年において認知症を患っている人は500万人を超えており、65歳以上の高齢者の約7人に1人は認知症と言われているほど、認知症は誰もがなりうる病であり、多くの人にとって身近なもの、向き合わなければならないものとなってきているようです。
そんなことから、2018年に政府は認知症施策推進関係閣僚会議を設置し、その後複数回の会議、有識者からの意見聴取、認知症の人やその家族からの意見聴取を経て、今回大綱を取りまとめたとのことです。
認知症施策推進大綱の基本的考え方
認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進
上記基本的考えをもとに、具体的な施策は以下の5つの柱に分かれています。
- 普及啓発・本人発信支援
- 予防
- 医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
- 認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
- 研究開発・産業促進・国際展開
認知症施策推進大綱の施策内容とは
認知症施策推進大綱の施策が5つの柱で成り立っていることをお話ししましたが、それぞれについて、簡単にですが、内容を一部紹介します。
1.普及啓発・本人発信支援
認知症に関する理解促進のために、地域や職域で認知症の人や家族を手助けする認知症サポーターを養成する。特に認知症の人と関わることが多いとされる小売業や金融機関・公共交通機関の従業員等。また、人格形成時期である子ども・学生に対する養成講座も拡大していく。
2.予防
高齢者が身近に通うことのできる場を拡充することで、運動不足や生活習慣病、社会的孤立等の認知症の原因となり得る可能性があるものを排除していく。また、高齢者が身近に通える場における、医師や保健師等の健康相談などの活動についても認知症予防につながる可能性があるため、推進する。
3.医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
認知機能低下の人や認知症発症の人を早期発見・対応するために、地域包括支援センターやかかりつけ医等は、認知症疾患医療センター等の専門機関と日頃から連携していく。
介護者の負担軽減のため、訪問介護や短期入所介護などの各種サービスの活用を推進する。
4.認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
日常生活における移動や買い物などの場において、認知症になっても利用しやすいよう、改善や工夫を図る。バリアフリーは公共交通機関や建築物等のハード面だけを強化するのではなく、ソフト面(接遇ガイドラインの作成等)も推進していく。
5.研究開発・産業促進・国際展開
日本医療研究開発機構は、研究機関に対し、認知症発症や進行の仕組みについての解明や、予防法・診断法・治療法等の研究開発の支援を行う。研究機関は、自らの事業としても認知症に関する研究を進める。
今後の日本は認知症の人にとって優しい国となるのか
現代において、認知症は誰もがなりうるものです。
だからこそ、我々はその意識を持ち、認知症に向き合っていかなくてはなりません。もはや認知症から目をそらすことはできない状況になってきているのです。
先に説明した認知症施策推進大綱は、2025年までの施策です。というのも、団塊の世代が75歳以上になる(つまりは、認知症の人の数が最も多くなると推測される時期)のが2025年だからです。
2025年までに、今よりも”認知症バリアフリーという観点における状況”が劇的によくなるかと言われれば、正直よくわかりません。
ですが、良くしようとはしています。これは紛れもない事実です。
大綱は公表されたばかりですし、まだまだ世間一般の人には浸透していない部分もあるかもしれませんが、徐々に認知症の人にも優しい世の中になっていくのではないでしょうか。
そうであってほしいです。
7人に1人が認知症と言われる時代ですから、おそらく日常生活の中で認知症を患う人と接する機会も多くあるでしょう。
もしかしたら、自分の知らぬ間に接しているかもしれません。
なんかこの人、行動が遅いな…とか、言ってることがおかしいな…と思ったら、イライラするのではなく、温かい目で見守ってください。その人が一人で行動していたら、地域の窓口などに相談してください。あなたの一言で、早期発見できるかもしれません。
認知症は他人事ではない時代です。
私たち一人一人が意識を持ち、地域の人とつながりながら、みんなに優しい社会を作っていきましょう。