大豆は健康や美容に良いと言われることが多いですが、皆さんは毎日どれくらいの大豆を食べていますでしょうか。
なんとなく健康や美容に良いとは分かっていても、なかなか意識的に摂取することはできていないのではないでしょうか。
そんな皆さんにお伝えしたいのですが、実は、大豆は「認知症予防にも効果的」なんです!
今回は、大豆の持つ栄養素とその効果、その中でも特に、大豆と認知症との関係性について詳しくみていくことで、大豆に対する皆さんの意識を「なんとなく摂る」から「積極的に摂る」へ変えていきたいと思います。
大豆の持つパワーをしっかり知ることで、大豆を積極的に摂り、より健康的な毎日を送りましょう。
大豆の成分~気になるイソフラボンの含有量とその効果まで~
さっそくですが、大豆の持つ代表的な4つの栄養素とその効果などについてみていきたいと思います。
イソフラボン
大豆胚芽に含まれるフラボノイド系ポリフェノールの一種です。
身体への良い効果として言われているのは、「抗酸化作用」です。
体内の活性酸素は、増えてくると細胞を傷つけ老化させてしまうのですが、イソフラボンを摂ることで、活性酸素の働きを抑制します。
抗酸化作用の効果として有名なのは、血中コレステロール値を下げ、動脈硬化を予防することや、がん予防、アンチエイジングなどです。
ちなみに、イソフラボンの含有量ですが、豆腐1丁(300g)あたり約80㎎、納豆1パック(45g)では約35㎎、豆乳1本(200g)に約50㎎です。
食品安全委員会によると、1日当たりの摂取目安量は、70~75㎎と言われていますので、上記食材等をうまく組み合わせて、大豆イソフラボンを摂取したいですね。
(参考:食品安全委員会 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A)
カルシウム
カルシウムと言えば牛乳や乳製品と思いがちですが、実は牛乳よりも豆腐のほうがカルシウムの含有量が多いそうです。
厚生労働省が公表している食事摂取基準では、成人男性と成人女性の1日当たりのカルシウム摂取推奨量は、660~780㎎程とされています。
農林水産省の公表する食品別カルシウム含有量を見てみると、木綿豆腐1丁300gあたり約360㎎、納豆1パックあたり約45㎎とのことです。ちなみに牛乳はコップ1杯200mlあたりで、220㎎です。
(木綿豆腐と牛乳を100gあたりで比較してみると、木綿豆腐が120㎎、牛乳が110㎎となります。本当に豆腐(木綿)のほうが牛乳よりカルシウム含有量が高いんですね!)
カルシウムが不足すると、骨が弱くなってしまうだけでなく、動脈硬化や高血圧のリスクも高まると言われています。
食物繊維
大豆は食物繊維も豊富に含んでいます。
驚くべきはその含有量で、なんとごぼうの3倍もの食物繊維を含んでいるのです。
食物繊維は便秘解消、腸内環境を整える効果があることは有名ですよね。でもそれだけではないんです。食物繊維は、不要なコレステロールやナトリウムを吸着し体外へ排出してくれるので、コレステロール値を下げたり、高血圧予防の効果も期待できるのです。
レシチン
脳神経や神経組織の細胞膜の主成分であるリン脂質のことを指します。つまり、脳に影響を与える物質ということです。
レシチンはアセチルコリンという脳内の神経伝達物質を作り出しますが、アセチルコリンが不足すると認知症になると言われています。実際にアルツハイマー型認知症の方は、アセチルコリンが減少していることが確認されているとのことです。
アセチルコリンの生成を高めるには、レシチンを摂取する際に、ビタミンCを合わせて摂るとよいそうです。
また、レシチンから抽出されるPS(ホスファチジルセリン)は、年齢による認知機能の低下を予防する効果があります。こちらも実際に効果があることが研究により確認されています。
認知症と生活習慣病と大豆の関係性
認知症には3つの種類(原因)があります。
その中の1つ、脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血が原因となって発症しますが、これらは生活習慣病(糖尿病や高血圧、動脈硬化など)が原因となるものです。
上記のとおり、大豆には、イソフラボンやカルシウム、食物繊維といった生活習慣病を予防する効果の期待できる成分が豊富に含まれています。
間接的なようですが、大豆を摂取し、生活習慣病を予防することで、認知症を予防することにつながるのです。
また、大豆がアルツハイマー型の認知症に影響があるということも分かってきています。
マウスを用いたとある実験においては、大豆イソフラボンが、神経幹細胞の増殖と海馬ニューロンの新生を促進すること(=記憶学習機能を改善する効果があるということ)がわかったそうです。これはすなわち、アルツハイマー型認知症などの認知症の予防効果が期待できることと言えます。
そして前項で記したとおり、大豆に含まれるレシチンは、アセチルコリンの生成を高め、アルツハイマー型認知症のリスクを低減してくれます。
大豆は、3つの認知症のうち、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の2つを予防する効果が期待できるんですね。
大豆は「ブレインフード」と呼ばれることもありますが、これだけ認知症予防に効果的なことを考えると、そう呼ばれることにも納得ですよね!
認知症予防と生活習慣病の改善に効果的な大豆の摂取方法
大豆が認知症予防にとても効果的ということがわかりましたが、どのように摂取してもよいのでしょうか?より効果が期待できるような食べ方はあるのでしょうか?
まず、大豆を摂取するタイミングですが、おすすめは食事の始めに食べることです。
「べジファースト」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?これは、食事の最初に野菜を食べることなのですが、こうすることによって血糖値の急激な上昇を抑えることができるのです。
実は、この血糖値の急上昇を抑える効果なのですが、野菜だけでなく、大豆でも同じ効果が期待できると言われています。
血糖値が急に上がると、脳卒中や脳梗塞、心筋梗塞になる恐れが出てきますので、この「大豆ファースト」はぜひとも実践したいところです!
また、大豆の栄養素の1つであるイソフラボンを効率よく吸収するには、腸内環境を整えることが必至です。
大豆イソフラボンのほとんどは、糖と結びついているのですが、上手く吸収するには、この糖と切り離す必要があるそうです。そして、この糖と切り離す作業は、腸内細菌の作用によるものです。
人によりイソフラボンと糖の切り離しを行う能力に差があります。できるだけ効率よくイソフラボンを吸収するためにも、乳酸菌や食物繊維を摂ることを意識して、腸内環境を整えておきたいですね。
おすすめの大豆製品については、どの栄養成分を重要視するかによって変わってきますので、一概には言えませんが、個人的には大豆だからこそ摂取できる成分(例えばイソフラボン)を重要視したいかなと思います。
仮にイソフラボンを積極的に摂りたいとすると、1日のイソフラボン摂取目安量は70~75㎎ですので、200mlの豆乳1本(イソフラボン約50㎎)と、朝昼晩のどこかで納豆1パック(イソフラボン約35㎎)を食べれば、目標達成です!
とはいえ、栄養素だけを意識して偏った食生活になってしまうのは問題です。当然のことですが、多く摂れば摂るだけいいというものではありません。目安摂取量を達成したら、あとはほかの食材からバランスよく栄養を摂取できるようにしていきたいですね。
まとめ
大豆には健康、美容、そして脳にとても良い影響を与える栄養素がたくさん含まれています。
認知症予防という観点から見ても、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の2つの種類の認知症を予防する効果があるというのは、驚きですよね。
大豆の脳血管性認知症の予防する効果に関しては、必然的にそれと合わせて、生活習慣病の予防効果も期待できることになりますから、一石二鳥です。
おそらく多くの人が、意識をしなくても、大豆の目安摂取量(栄養成分はどれにおいても)の半分くらいは毎日とれているのではないかなと思います。でも、せっかくなら、ちゃんと目安摂取量を摂りたいですよね。
だれでもきちんと意識をすることで、簡単に目安摂取量を摂れるようになると思います。
また、大豆を摂ることを意識するついでに、大豆ファーストで摂取することも併せて覚えておきたいですね。
このことを意識するだけで、認知症発症のリスクは格段に減るのではないでしょうか。
信じるも信じないもまずは実践あるのみ。さっそく今日の食事から、意識して大豆を食べるようにしてみませんか?