認知症予防<生活>

認知症予防のカギは、睡眠の質にあり。

投稿日:

みなさんはいつも何時間くらい寝ていますか?

これまでの人生の中で‟健康のために”睡眠時間を意識したことはありますか?

 

おそらく大半の人が特に意識することもなく睡眠をとっていると思います。
例えば、睡眠時間について、朝家を出る時間に間に合うように起きることは考えていても、何時間眠れるかについてはあまり考えませんよね?また、どうしたら質の良い睡眠がとれるか、なんてことについてはほとんど考えたことがないのではないでしょうか。

 

このように通常あまり意識のされない「睡眠」ですが、健康でいるためにはとても重要なことです。本来もっと意識されるべきことなのです。

そしてこれは認知症においても同じです。

認知症予防を意識するのであれば、睡眠をスルーすることはできません。むしろ睡眠を改善することで認知症予防ができると言っても過言ではないほど。

ですが、実際に睡眠を意識している人は数少ないという…。とても残念な現状です。

 

健康でいるためにも、認知症にならないためにも、重要と言われる睡眠。今晩から少し意識してみませんか?

今からでも遅くありません。睡眠を改善して、ボケない健康的な将来を手に入れましょう!

どのくらい寝たらいいのか、どうしたらよく眠れるのか・・・そのようなことも含め、まずは睡眠と認知症の関係性から、順を追って見ていきましょう。

 

 

認知症と睡眠の関係性

結論から言ってしまうと、認知症と睡眠は、切っても切れない関係性です。

身内に認知症の人がいる方はよくわかるかもしれませんが、認知症の人は、夜何度も起きたり、睡眠時間が短かったりします。

まぁこれは、認知症になってしまってからの話なわけですが、実は、認知症になるか否かということ自体にも、睡眠が深く関係しているのです。

 

睡眠は脳の疲れをとったり、脳の働きを維持してくれています。

これについては、なんとなく実感もありますよね?
例えば、勉強や仕事において、夜何時間かけても答えを導き出せなかったものが、翌朝になると5分もしないで分かったり、お昼ごはんの後は頭がぼーっとしちゃうのに、15分くらい仮眠したら、びっくりするぐらいすっきりしていたり…。

 

睡眠は、脳内に蓄積されるアミロイドβを除去する働きがあると言われています。

アミロイドβというのは特殊なたんぱく質で、脳内に蓄積され続けると、神経細胞の情報伝達機能が働かなくなり、認知機能を低下させ、最終的にアルツハイマー型認知症を引き起こします。

脳内のアミロイドβは、日中に濃度が高くなるのですが、夜眠ることによって濃度を低下させています。しかしながら、しっかり睡眠をとらないと、アミロイドβの濃度が高いまま翌日を迎えることになります。当然のことですが、そんな生活を繰り返していると、どんどんと脳内のアミロイドβの蓄積量は純増していくわけです。

 

もうお気づきだと思いますが、アミロイドβの蓄積は、1日2日でなるものではありません。
アミロイドβは年々蓄積されていき、高齢になったとき(脳内に溜まりすぎたとき)にアルツハイマー型認知症を発症してしまうのです。

ElisaRiva / Pixabay

 

睡眠時間は認知症の発症に影響するのか

睡眠が足りないと、脳の疲労がリセットされないこと、つまり脳内のアミロイドβが除去されないことがわかりました。

では、どれくらい寝たら睡眠時間は足りてると言えるのでしょうか。また逆に、長時間寝れば寝るだけいいのでしょうか。

 

これに関しては、実際に調査が行われています。

2017年にアメリカで約2,400人の高齢者を対象に、睡眠時間と認知症の発症リスクの調査を行ったところ、1日9時間以上の睡眠をとる人は、睡眠時間が9時間未満の人に比べ、認知症の発症リスクが2倍になったそうです。

また、スペインのマドリード大学病院が行った調査では、睡眠時間が1日8時間以上の人達の認知症発症リスクは、6~8時間の人達と比べて2倍だったと言います。

 

これらの結果から見ると、睡眠時間が8時間以上だと寝すぎだということがわかります。

睡眠不足が脳に良くないだけでなく、寝すぎも良くないんですね。

厚生労働省の公表している「健康づくりのための睡眠指針」を見ても、人間に必要な睡眠時間は個人差があるものの、6時間から8時間未満が妥当だとされています。

 

cuncon / Pixabay

 

認知症を予防するには質の良い睡眠を

認知症予防に効果的な睡眠時間は6時間から8時間未満ということでしたが、時間よりも実は大切なことがあります。

それは睡眠の「質」です。

いくら適度な睡眠時間をとっていたとしても、質が悪ければあまり効果はありません。

 

聞いたことがある人もいると思いますが、睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返しています。
ノンレム睡眠が脳も身体も眠っている状態に対して、レム睡眠は身体だけ眠っている状態です。リアルな夢を見たりするのはレム睡眠の最中です。

 

先ほど、脳内のアミロイドβは睡眠中に除去されるという話をしましたが、これは、脳が休んでいるノンレム睡眠中に行われます。

つまり、いかにノンレム睡眠をきちんととれるかが、質の良い睡眠になるか否かのカギとなるわけです。

そして、ノンレム睡眠をきちんととるには、一番初め、眠りについてすぐのノンレム睡眠の際にどれだけ深く眠れるかが重要となります。
最初に深い眠りにつくことで、そのあとの睡眠もきちんとしたサイクルで行われていくのです。そしてそれこそが、質の良い睡眠となるわけなのです。

 

質の良い睡眠をとるための5つの方法

質の良い睡眠をとるためには、最初のノンレム睡眠でいかに深い眠りにつくかが重要ということですが、どうしたら寝つきがよく、最初から深い眠りになれるでしょうか。

布団に入ってからもなかなか眠れないという人や、やっと眠れてもすぐに目が覚めてしまうという人もいらっしゃいますよね?
筆者自身も寝つきが悪く、朝起きてもすっきりしていないということに長年悩まされてきたタイプです。いろいろな方法を試してみて、実際に寝つき・睡眠が改善したと感じたものを5つピックアップしましたので、なかなか眠れないという人は参考にしてみてください。
(※効果には個人差があると思いますが、健康面から考えてもやってみて悪いものではないですので、ぜひ一度お試しを…!)

  1. 朝起きたら太陽の光を浴びる
    規則正しい生活を送ることは、良い睡眠をとるためにとても重要です。朝起きて日光を浴びることで、体内時計のリズムを整えます。体内時計は1日を24時間より少し長いので、日光を浴びる時間が遅くなればなるほど、身体の中での就寝時間を後ろ倒ししてしまいます。朝キチンと日光を浴び、夜は寝る時間だと身体に認識させてあげるようにしましょう。
  2. 適度な運動をする
    身体を動かして、適度に疲れを感じることも大事です。日中にウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を行い、適度な疲労感を得ると眠りにつきやすいです。ただし、寝る直前の運動は体温を上げ脳を興奮させてしまうので、注意が必要です。寝る前に何か行うのであれば、ストレッチやヨガなどで身体をリラックスさせるものがおすすめです。
  3. 睡眠前の飲酒は控える
    少量の飲酒であれば、寝つきがよくなることもありますが、基本的に睡眠前の飲酒はおすすめできません。トイレが近くなり、睡眠途中に何度も目覚めてしまったりした経験はみなさんもあるのではないでしょうか。脱水症状にもなりやすいので、質の良い睡眠のためには、睡眠前の飲酒は控えたいですね。
  4. 睡眠約2時間前の入浴が理想
    睡眠前に入浴することも効果的です。とはいえ、寝る直前に入ってしまうと、身体の温度が上がりすぎた状態のため、逆に寝つきが悪くなることがあります。大体就寝前1~2時間くらい前に入浴するのがおすすめです。(2時間以上前では効果は得られない可能性が高いです。)
    38℃のお湯で25分程、40℃であれば15分程の入浴をしてみてください。
  5. 自分に合った枕を使う
    自分に合う枕を使用することも重要です。どんな枕でも眠れるという人もいるかと思いますが、自分に合ったものとそうでないものとでは、眠りの質は全然違います。特に睡眠時無呼吸症候群の人は、体内・脳内の酸素が低下し、認知症を引き起こしやすいと言われているので、注意が必要です。
    【スリーパードクターズピロー】という枕があるのですが、この枕は睡眠時の呼吸を考えて作られています。気道を塞がない姿勢で寝られるように設計されているので、普段いびきが気になる方や、無呼吸症候群の方は使ってみることをおすすめします。しっかり呼吸をして睡眠をとると、翌日の疲れの取れ方も全然違いますよ。

ここまで、良質な睡眠をとるための5つの方法をご紹介しましたが、いかがでしょうか。試してみたいものはありましたか?

40代を超えるとだんだんと眠りが浅くなると言われています。そして、認知症発症の原因と言われる脳内のアミロイドβの蓄積は、40代くらいから始まります。

睡眠時間が短くても特に問題ないように感じている人もいるかもしれませんが、実際は問題ありなのです。今すぐどうこうならなくても、20年後の認知症発症につながります。

将来ボケないためにも、質の良い睡眠をとるよう、今日から意識していきましょう。

 

ちなみに、良質な睡眠のために作られた枕は、こちらからチェックできます。

まとめ

現代人は昔の人に比べ、睡眠時間が短くなっていると言われています。

実際、自分を含め、周りの人を思い返してみても、夜型人間が多くなった気がしませんか?それは、24時間営業のお店が増えたことからもわかります。

働き方が多様化した時代、生活スタイルは人それぞれです。

ですが、生活スタイルが変わっても健康でいるために重要なことはそれほど大きく変わっていません。

昔も今も変わらず睡眠は重要です。そして、どれだけ夜型人間が増えても、健康のためには、夜は眠って朝は起きるべきなのです。(どうしても夜起きていなくてはいけないのであれば、せめて質の良い睡眠はとりたいところです。)

 

アルツハイマー型認知症の原因(アミロイドβ)の蓄積は、長い年月をかけて行われます。まだ先のことと思っているうちに取り返しのつかないところまで行ってしまいます。なので、睡眠について興味を持った今日から、少しずつでもいいので自分の睡眠を見直してみてください。今から改善すれば、きっと明るい将来が待っているはずです。

できれば毎日7時間、良質な睡眠をとることを心がけましょう。

-認知症予防<生活>

Copyright© 認知症予防の始めかた , 2024 All Rights Reserved.